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何だから、書かないとね。
温もり
「オーンにいしゃま。一緒に寝て良い?」 小さな娘が羽根の枕を抱えてレムオンの部屋の扉を開けた。
数日前、ゼネテスが宝箱を開けるのを失敗して、その犠牲者が宝箱を開け損なった当のゼネテスではなく娘になったのはレムオンにとっても仲間にとっても大変不幸ということになろう。 しかし、ながら当の本人は全然不幸と言う感じはしないと言うか、不幸なんて分からないと言うか・・・。昼は、存分に屋敷の中を駆け回り夜はこうしてレムオンに布団に潜り込んで来る。やはり、小さな娘には広い屋敷の1棟は恐ろしいようだ。 くすりと、レムオンは微笑んだ。小さくなって初めて知る小さな子供の体温。ほこほこと暖かなそれは、妙に心を落ち着かせてくれた。
新月を恐れ、ダルケニスで吸血一族であることを呪った。そんなことを、この温かみは忘れさせてくれる。そして同時に、酷く切なくなる。 新月の夜には、この温かみにさえ牙を向け獲物の対象とするのだと。
人として生きたいと。 他人の、生命を啜って生きながらえたくないと・・・。
何時もそう思う。それと同時に、乾いてゆく喉をどうすることも出来ない己に気付き傷付く。 「皮肉な、ものだな・・・」 呟いて、漏れでた言葉に小さな娘が、むにゃむにゃと目を覚ました。 「オーンにたま?」 「起したか?」 「う〜〜〜ん。らいじょうぶ・・・あんね、あんね。おーんにいたまはね。綺麗だよ」 行き成りな、小さな娘の言葉にレムオンは面食らった。 「何だそれは?」 「うんとね。わかんない・・・でも、何処にも言っちゃやだ」 何も分からなくとも、何も知らなくとも、ことの本質は分かっているよ。と、言いたげな娘の言葉にレムオンは、ふっと笑った。 「あんね。あんね。夜って、暖かいんだよ・・・おーんにいたま・・・」 その言葉を最後に、安らかな寝息を娘は立て始めた。
おそらく、この温かみがあれば夜を闇を恐れることはないのだろう。 レムオンは、微笑む。例え愛した姫が誰のものになろうと、どこまで、自分が追い詰められようと、味方はここにいるのだと。
もう、怖くないな・・・
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